這いよれ!ニャル子さん 第一話

 真尋くんが割と恩知らずのように見えた。のだけど、キャラ間の力関係を整えるためにやや過剰なキャラ付けをされてるんじゃないかな、という感触もあって。
 主人公と特定ヒロインが相思相愛となった時点で、ラブコメの自由度は大きく削がれてしまう。……身も蓋もなく言えば、他のヒロインの入る隙間がなくなる。だから恋愛が成立するのを阻止しなければならないのだけど、その一方でもちろん、恋するキャラの魅力は描かれねばならない。ニャル子さんのアタックは一途で情熱的だ。受け側の真尋くんに耐性を備えさせないといけない。ひたすら鈍感にする、という処理でも展開の遅延という目標はもちろん達成され得るように思えるのだけど、それをしてしまうとニャル子さんの魅力が―――少なくとも一話の画面から伺えるそれの重要な部分がスポイルされてしまうようにも思う。具体的に言うと、相手が照れてしどろもどろになった瞬間、調子に乗ってずずいと身を乗り出すあの感じが失われる。これはうまくない。そこで真尋くんの側を「頑なながら脆く、しかし一線を越えられそうになると反撃する」キャラクタとして設定することで、僕らはエロくも純真な求愛行動を無限に観続けられるようになったのだ、と考えられはしまいか。ごめん全部妄想。パースペクティブの提供以上のことには興味ありませんので。
 ともかく。してみれば、過剰なまでの反撃とは世界を保存しようとする営為であり、そのお約束が崩れた瞬間にこそ世界は変質を迎えるのでは、とか予想できなくもない。原作未読なのでかなり無茶言っても許されると思ってる感は否定できません。ぐんにょり。
 
 ツンデレという語を遣うとやや不精確な気がしたので遣わなかったのだけれど、その不精確さもひっくるめて、所謂ツンデレヒロインの反転なのでは……という感触もないではない。真尋くんマジヒロイン、というのはたぶんそういう印象にも拠った感覚であって。ストレートな女の子のかわいさを描くために、女の子を中心として世界のロジックを回転させたらそうなったよ、と捉えておくとしっくりくるような気がする。