Angel Beats!

 一話ごとの感想ならまだしも、一度に総評を、となると何を書いていいものだか判らないのだけれど。とりあえず備忘録として。
 某氏の言を多く含む。後から付け足した部分がどれだけあるかしら。
 
 まず、技術的な面の話。
 最初期に顕著な、大人数で喋る時の持ち回りで発話する感覚について。アニメなので複数人を同時に喋らせたり、喋ってる最中に他のキャラを動かしたり、といったことが可能なはずなのだけれど、そうはせずに順番に喋らせていたような場面が目立ったように思う。ADVの様式、と聞いて割と納得。或いは画面がうるさくなりすぎることを忌避した、とか? 途中から目立たなくなった(キャラ紹介が済み、各キャラが自由に絡めるようになった―――音無への説明が不要になったため?)ので、説明の技法の問題と見做すのが適切なように思う。
 描写のリアリティの話。死なない(生き返る)世界なので死ぬこと前提で割とスプラッタな事態が演じられるのだが、たとえば最初の野田との遭遇で死ぬ場面や中盤の天使ハーモニクス戦での捨て身拘束の場面のようにギャグとして処理されることもある一方で、直井による粛清などは死そのものが非常に凄惨なものとして描かれていた(その死に登場人物が何を想うか、という展開/文脈上の話ではなくて、演出の問題としてどう見えるかの話)。どのようなものとして、どれくらいの水準のものとして死を捉えればいいのか、というのが判りづらくなる場面は多かったように思う。思うけどそれほど問題には感じなかった、とも。
 音楽については突っ込めるほどの印象がない。何度か意識して観ないと難しいかな。雰囲気を崩されるような用法にはほとんど覚えがない、ので気に障らなかったとは言える。
 
 世界観とかの話。
 こんな理不尽ってないじゃない、の一言に集約される。努力すれば報われる、正しく生きれば害されない―――などといった論理の通用しない、唐突な悲劇に裏打ちされた世界。起こった悲劇は覆せないものとして当人の胸の内に在り続け、救いはただ、認識の変容によってのみ実現される、そんな箱庭。救いの条件が青春の体験なのか、未練の昇華なのか、或いはその両方なのか、というのは実際よくわからない(奏の言を信じれば前者だし、そのメソッドで救い切れなかった例外だけがSSSになった、とも取れるため)。ともかく、満たされることが目的であり、終着となる。
 
 ……表層にしか言及してないとはいえ、極めて退屈なことしか書けてない。次でもうちょっと感慨を乗せる。