彼女がフラグをおられたら 二話まで

 まだキャラの名前もあんまり覚えてないのですが。
 どの程度まで異能/異世界の設定を突っ込んでくるのかな、というのと、キャラ造形に見る過去作の影響とその運用の仕方みたいなところに注目して観ているところ。もちろん脳の8割くらいは阿澄佳奈田村ゆかりの声を認識し記憶することに使っているのだけれど、まあ、残り二割くらいでこう。
 お姉ちゃんが割とリアルに突き抜けた強度を有しているっぽいのが気になっていて、というのも竹井10日の描く「だだ甘お姉ちゃん」って少なくともMarronの頃には非常に嫉妬深く独占欲の強い人格をしているってところまで含めた造形だった筈なんですよね。弟が好きな子と幸せになるのを応援したいけど悔しい、って葛藤に苛まれるくらいの弱さはあった。がをられのお姉ちゃんにはそこらへんの屈託が全くないように見えて、なんか眺めてるときんモザのシノみたいな気がしてくる訳です。なんか欠落しちゃいけないものが欠落してるような。
 Marronゲーでもそういうキャラが全くいなかったということはないんだけど、そういうキャラをヒロイン枠に置く、というのは割とびっくりする処理で。内面を掘り下げる方向に行くのか、或いは従来のダダ甘お姉ちゃんとは全く違う処理を見せてくれるのか。かなり気になる。
 あと、男の娘。フラグビンビンなのが割と直感に反した造形という感じがする。というのも、竹井10日作品で主人公は特に理由もなくモテる訳であり(ひまチャきに於いてはモブ男子に惚れられている描写すらある)、だからこそ男友人キャラは話を回すのに徹するため、恋愛面には全く関わらないデザインになっていたと理解してるんだけど、そうすると恵のキャラってなんなのかなーという。尋常な男の娘の扱いとしては身近でモーションをかけてくるけど恋愛に発展しない、無限にラブコメ可能なヒロインというのがまあ常套手段な訳だけれど(ハス太くんのかわいみ)、茜さんとかお姉ちゃんとかがあんなキャラしてるのにベタベタキャラもなにもないよなあ。という訳で、動かし方にかなり興味のあるキャラその2、という感じ。
 
 ところで。
 ニコニコ動画(略さないところに玄妙な怒りの残滓を感じ取って頂きたい)のコメント付きで視聴していたのだけれど、フラグをおられたらってタイトルなのにハーレムじゃん、といったコメントがあって、なんで一話に於いて丁寧にフラグとは恋愛フラグだけではないということを提示してみせたのか、って考えたりしないのかなあと大変絶望的な気分になったとかなんとか。
 敢えて「フラグ」という意味が拡散し多義性を持つジャーゴンと化した用語をそのままタイトルにブチ込む以上、それは逆説的に作中におけるフラグという語の意味するところが作者によって操作される範囲が非常に広いことを意味する。死亡フラグかもしれないし恋愛フラグかもしれないし友情フラグかもしれないし―――そもそも、フラグという言葉が颯太の目にするあの旗のことをのみ意味すると、なぜこの時点で断定してしまえるのか。より大きな/或いは小さな枠組みで、フラグという言葉が意味を持つ可能性は考えないのだろうか?
 ……なんでこうまで惨憺たる気分になるかと言えば、大多数のアニメってのは週区切りで断続的に視聴される形式をとっている訳で、そのような状況下でそんなこと言い始めたら構成も何も無くなっちまうだろって思ってしまうから。早漏にも程がある。そんなに予定調和が好きなら予定調和的に裏切られることの可能な鬱アニメにでも耽溺すればよい。いつ/どの方向に転ぶかわからない不安定さにも耐えられないのなら、そうすべきだ。