Rewrite、小鳥ルート終了

 小鳥ルート。いちばん好きなルートを一つ挙げて、と言われたら迷わずこれかなー。
 
 終盤の山場を担う二つの別れ。その両方ともが好き。
 心を持たないはずの魔物化した両親が、まるで知性を取り戻したがごとく言葉を交わす。犬を素体に持つ魔物が、今わの際にかつての声で鳴いてみせる。単に再生された台詞が絶妙に噛み合っただけだとも、バグめいた誤作動によって予期しない動きが実現されただけだとも、理屈をつけて説明はできる。一方で、彼らには心があったのだ、記憶があったのだ、と信仰することもできる。そのどちらをも選ばない眼差しが、純粋に心地よかった。観測して主観的に意味づけする。それだけでいい。
 
 どのようなものであるか、の話だったのかな。この二項対立を引きずったまんまでいいのか自信ないんだけど(既にコンプしてるというのに)。
 小鳥さんに対する愛情は本編開始前からのそれであって、だから瑚太郎くんが小鳥さんを追い求めるのには何の切っ掛けも要らない。だから、ごく自然に追いかけ、振り向かせ、その果てに最後の残酷が突き付けられる物語となる。その過程において、どうありたいか、は殆ど意識されない。一方的な献身、後に篝に対しても同様に行われるそれは、単独で完結してしまうものだから。問題にされるのはむしろ、その想いの出所……つまり、天王寺瑚太朗という人格が如何にして形成されたか、ということの方。嘘偽りなく愛し続ける者のルーツに、愛はあったのか。心はあったのか? という問い。
 ただし、その懐疑に嬲られるのは瑚太郎くんではなく小鳥さんの方である、というところに物凄く酷薄な構図を見たり。全体的に過酷な話が多いと思うのだけれど、トップクラスにひどい構図。
 
 どうでもいいはなし。最後の残酷、その提示の際の演出が、神樹の館の双子ルートのそれをやや彷彿とさせた。柘榴。
 どうでもいいはなし2。声の力に圧倒された。これが斎藤千和か……。